……あこがれのアラカンに、はじめて私が会ったのは昭和三十五年の秋、解散の色濃い新東宝撮影所。ついに長ずるに及んで芸能ジャーナリストとなった私は、少年のように胸を弾ませて、インタビューにおもむいたのである。(中略)
かくて足かけ三年、四十九年十二月八日の誕生日まで折にふれての聞き書きは、四百字詰原稿用紙千枚をこえた。資料及び写真はわが陋屋に足の踏み場もなくなり、『聞書アラカン一代』なる一冊に編まれることとなったのである。(本文抜粋)
竹中労(たけなか・ろう)
1930年生まれ。東京外語大学除籍。フリーのルポライターとして活躍。政治から芸能まで広い分野をテーマに、権威とは無縁な時代の心性を掘り起こす文章は、竹中節として多くの読者を魅了した。91年5月19日肝臓癌で死去。父親は画家の竹中英太郎。主な著書に『黒旗水滸伝』『山谷・都市反乱の原点』『琉球共和国』『世界赤軍』『ビートルズ・レポート』『にっぽん情哥行』などがある。